CHST14のノックアウトは、デルマタン4-O-スルホトランスフェラーゼ欠損を引き起こし、筋収縮性エーラス・ダンロス症候群-CHST14(mcEDS-CHST14)と呼ばれるデコリングリコサミノグリカン(GAG)鎖のデルマタン硫酸(DS)が完全に欠損し、コンドロイチン硫酸(CS)に置き換えられる。最近、mcEDS-CHST14患者の皮膚におけるGAG鎖の構造変化を発見した。本研究では、Chst14遺伝子欠失ホモ接合体(Chst14-/-)マウスの最初の体系的な調査を実施した。野生型(Chst14+/+)およびChst14-/-マウスの皮膚サンプルを使用した。皮膚の機械的脆弱性を引張試験で測定し、病理組織解析は光学顕微鏡でデコリン免疫組織染色像を観察した。また、キュプロメロンブルー(CB)染色像は、電子顕微鏡(EM)を使用した。CSおよびDSの定量は、コンドロイチナーゼ消化物をHPLCで解析した。Chst14-/-マウスでは、Chst14+/+マウスと比較して、皮膚の引張強度が大幅に低下した。EM観察では、コラーゲン原線維がさまざまな方向に配向して、網状層に無秩序なコラーゲン線維を形成することを示した。CB染色像により、Chst14+/+マウスでデコリンが丸くコラーゲンフィブリルを包んでいるのとは対照的に、棒状の線形GAG鎖が一端でコラーゲンフィブリルに付着し、フィブリルの外側に突き出ていた。HPLCの結果により、Chst14-/-マウスの皮膚で非常に低レベルのデルマタン硫酸二糖類が検出できた。Chst14-/-マウスは、皮膚のデコリンおよびコラーゲンネットワークのGAG構造に同様の異常を示すことから、mcEDS-CHST14の患者の皮膚の脆弱性の合理的なモデルであり、皮膚の強度を維持する上でのDSの機能が明確にできた。