発表:基礎研究部門・研究室

発表論文

  • Miyabara S, Yuda Y,, Kasashima Y, Kuwano A and Arai K. J. Equine. Sci, in press.
    ウマ骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)をグリコーゲン合成酵素-3β(GSK-3)阻害剤であるBIO存在下でのコラーゲンゲル内培養することにより、テノモデュリン発現が強く誘導されることを見出した。こさらに、BIOは腱マトリックスのうち、XIV型コラーゲン発現を大きく上昇させ、デコリンおよびファイブロモデュリン発現も刺激した。このことから、BMSCsをBIO存在下のコラーゲンゲル内で培養することによりテノモデュリンを高発現する腱細胞へ分化させることができる可能性が示された。

学会発表

  • ヒトムチンと共通抗原性を持つ ミズクラゲ由来成分の特性
    第15回マリンバイオ学会大会、那覇、平成25年6月15日
    小西良尚、福田有希、多賀祐喜、服部俊治、兼信正明、新井克彦
    ミズクラゲを抗原として作製したモノクローナル抗体を用いてエフィラのホールマウント免疫染色を行ったところ、JMAb4B4およびJMAb6E8は触手からの分泌物を認識した。ラット組織のWBより、これらの抗体は哺乳類成分を認識し、免疫組織化学解析によりJMAb4B4は大腸杯細胞からの分泌物と、JMAb6E8は細胞質と均一に反応した。以上の結果より、ミズクラゲ由来ムチンには、ほ乳類ムチンと共通抗原性を持つムチンの存在することが示された。
  • 哺乳動物細胞の細胞接着を制御するミズクラゲ由来成分について
    第15回マリンバイオ学会大会、那覇、平成25年6月15日
    山田晴菜、小西良尚、福田有希、宮内絵理、多賀祐喜、服部俊治、新井克彦
    ミズクラゲ由来細胞接着阻害蛋白質の生化学的性状を調べるとともに、クラゲの成長過程における本蛋白質の動態についても考察を加えた。胞接着試験により、成体由来成分に強い活性が、ポリプ並びにエフィラ由来成分にわずかな活性が確認できた。従って、この細胞接着阻害活性蛋白質は成長段階より溶解度や含有量が変化することが示された。レーザー顕微鏡観察により刺胞に局在することが判明した。
  • イヌ腎尿細管上皮細胞由来細胞株MDCKのコラーゲンゲル内における管腔形成の制御
    第156回日本獣医学会学術集会、岐阜、平成25年9月21日
    吉田沙也子、小西良尚、新井克彦
    コラーゲンゲル内においてMDCKは管腔構造を形成しHGFによりその形成が促進されたが、変異型Stat1強制発現株では短く分岐の多い構造体を形成した。一方、TNFαはコラーゲンゲル内においてもMMP-9発現を上昇させ、このTNFα依存性のMMP-9活性の上昇は野生型Stat1強制発現株で増強されたが、変異型Stat1強制発現株では、そのmRNAレベルおよび酵素活性がともに低下した。さらに、コラーゲンゲル内における腎特異的カドヘリン(カドヘリン16)の発現は変異型Stat1強制発現株において低下した。
  • ウサギ実験的腱損傷の治癒過程に及ぼすGSK-3 阻害剤の影響
    第12回日本再生医療学会総会、第156回日本獣医学会学術集会、岐阜、平成25年9月21日
    阿部広大、小川智、宮原志穂璃、湯田洋平、笠嶋快周、桑野睦敏、佐々木一昭、下田実、新井克彦
    ウサギアキレス腱において、コラゲナーゼ処置後2週目の損傷腱では、対照腱と比較して強く腫脹しており、組織学的には損傷部内に出血巣が残り毛細血管の新生とともにαSMA陽性の筋線維芽細胞の増殖を認めたが、これらの筋線維芽細胞においてTnmd mRNAシグナルは観察されなかった。一方、BIO注入損傷腱では、組織学的にTnmd陽性腱細胞が多く出現した。両腱組織におけるmRNA発現を比較検討したところ、BIO注入損傷腱では対照腱と比較してTnmd に加えてデコリンの発現上昇が見られた。以上のことから、ウサギの実験的腱損傷の治癒過程においてWnt-β-カテニン系を活性化させることにより、腱分化誘導を促進させ治癒機転に影響を及ぼす可能性がある。
  • Horn- degrading bacteria associated with “Gidoh in Japanese” in thoroughbred horses and the antimicrobial susceptibility
    The 7th International Equine Conference on Laminitis and Diseases of the Foot. Nov. 1 2013.
    A. Kuwano, H. Niwa, A. Ookuma and K. Arai
    Total 118 strains were identified as the HDB, which were mostly soil bacteria. Most isolated species were Brevibacterium sp. (24/118). Susceptibility testing of antimicrobials to 118 strains of the isolates was highest for aminoglycosides (95.8%). Other antimicorbials tested showed a range of 33.1 – 89.0 %. These findings suggest that soil bacteria can play an important role in the clinical problem of Gidoh. Though aminoglycoside showed high sensitivity to the isolates, we do not recommend using these antimicrobials because of concerns with the development of drug- resistant bacteria.
  • マウス細胞株の神経分化におけるフィブロネクチンの作用
    第118回日本畜産学会大会、筑波、平成26年3月28日
    荒原一彦、高橋智、佐々木和夫、森松文毅、新井克彦
    マウスES細胞EB3はラミニンおよびコラーゲン上ではニューロスフェアから神経突起を伸張させた。フィブロネクチン(FN)上でも神経突起伸張は観察されたが、ニューロスフェアは分散し伸展細胞が多く観察された。また、FN上では他のマトリックス上と比較してソニックヘッジホッグおよびネスチンmRNAレベルが高く、ニューロフィラメント発現は低値を示した。P19細胞株もFN上においてはEB3と同様の形態学的特徴並びに遺伝子発現特性を示した。以上の結果より、FN上では神経幹細胞としての特性が維持される可能性がある。
  • ブタ由来エラスチンペプチドによるマトリックスメタロプロテイネース発現の誘導
    第118回日本畜産学会大会、筑波、平成26年3月28日
    丸山勝弘、小西良尚、佐々木和夫、森松文毅、新井克彦
    マウス由来培養細胞株に対するブタ由来エラスチンペプチドのマトリックスメタロプロテイネース(MMP)発現に及ぼす影響について検討した。その結果、エラスチン含有コラーゲンゲル内培養上清をゼラチンザイモグラフィーに供したところ、MMP-9の発現誘導が確認された。また、カゼインザイモグラフィーにおいてもエラスチン添加により分解活性が検出され、この活性はEDTAにより阻害された。一方、定量的PCRの結果、MMP-9 mRNAレベルの上昇に加えて、MMP-3 mRNAの発現誘導が確認された。エラスチンペプチドはマウス由来両細胞株において、MMP-3およびMMP-9の発現誘導を促進することが明らかとなった。

招待講演

  • 実験的腱分化誘導に関する研究
    農林水産省・動物医薬品検査所、平成25年12月6日
    新井克彦
    平成25年度第2回特別講演会「人と動物の再生医療」於