発表:基礎研究部門・研究室

発表論文

  • Active Hyaluronidase 2 Expression in the Granulation Tissue Formed in the Healing Process of Equine Superficial Digital Flexor Tendonitis.
    J. Vet Med. Sci., 75(2):219–223, 2013.
    Yuda,Y, Kasashima Y, Kuwano A, Sato K, Hattori S and Arai K
    競走馬に発症する浅指屈筋腱炎においてムコ多糖分解酵素の一群であるヒアルロニダーゼの組織内活性の局在並びにmRNA発現を検索したところ、屈腱炎発症後の肉芽組織中に明瞭なヒアルロン酸分解活性が観察され、in situ ハイブリダイゼーションおよび定量的PCR解析により、ヒアルロニダーゼ分子種の内のHYAL2が肉芽組織中で増殖している筋線維芽細胞において高い発現上昇を示し、この分子種が屈腱炎の治癒機転に関与していることが示唆された。

学会発表

  • ウマ間葉系幹細胞のコラーゲンゲル内における腱分化形質の発現特性
    第154回日本獣医学会学術集会、盛岡、平成24年9月15日
    湯田洋平、宮原志穂璃、笠嶋快周、桑野睦敏、新井克彦
    ウマ骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)をコラーゲンゲル内で培養することによる腱細胞への分化誘導の可能性について検討した。その結果、ゲル内培養系においてテノモデュリン、デコリン、のmRNA量は単層培養系と比較して高い値を示し、また、テノモデュリンおよびXIV型コラーゲンのmRNA発現がGSK-3阻害剤存在下で大きく上昇したことから、BMSCはコラーゲンゲル内で培養することにより腱への分化が誘導され、さらにその分化誘導はGSK-3阻害を通したβカテニンの活性化により促進される可能性を示した。
  • ウサギ実験的腱損傷の治癒過程における腱関連遺伝子発現の解析
    第154回日本獣医学会学術集会、盛岡、平成24年9月15日
    小川智、湯田洋平、笠嶋快周、桑野睦敏、佐々木一昭、下田実、新井克彦
    家兎アキレス腱にコラゲナーゼ誘発性腱損傷を作製し、その治癒過程の腱関連遺伝子発現の特性を解析した。その結果、4週目の損傷腱では対照腱と比較してI型コラーゲンおよびデコリンの発現上昇が確認されたが、マトリックス分解系遺伝子発現も高値を示していた。以上の結果より、実験的腱損傷の治癒過程では、処置後4週目においても高いマトリックス代謝回転が維持されていると考えられた。
  • マウスES細胞並びに
    P19細胞株由来ニューロスフェアの異なるマトリックス上における形質発現の違い
    第12回日本再生医療学会総会、横浜、平成25年3月21日
    荒原一彦、佐々木和夫、村上博、森松文毅、新井克彦
    マウスES細胞株EB3および胚性腫瘍細胞株P19のレチノイン酸依存性神経分化に対して種々のコーティング基材が及ぼす影響について検討したところ、フィブロネクチン(FN)をコートしたシャーレ上では他のマトリックス上と比較してソニック・ヘッジホッグおよびネスチンmRNAレベルが高く、ニューロフィラメントおよびクラスⅢβ-チューブリン発現は低値を示した。以上の結果より、FN上では神経幹細胞としての特性が高く発現している可能性が考えられた。
  • ウマ骨髄由来間葉系幹細胞のコラーゲンゲル内における腱分化形質の発現特性
    第12回日本再生医療学会総会、横浜、平成25年3月22日
    新井克彦、宮原志穂璃、湯田洋平、笠嶋快周、桑野睦敏
    ウマ骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)をコラーゲンゲル内で培養することによる腱細胞への分化誘導の可能性について検討したところ、コラーゲンゲル内培養によりテノモデュリン(Tnmd) mRNAレベルが上昇した。このゲル内培養系にGSK-3阻害剤(BIO)を添加するとスクレラキシスおよびTnmdの発現は大きく上昇した。以上の結果より、BMSCの腱細胞への分化誘導はコラーゲンゲル内においてWnt経路を介して促進される可能性がある。