研究業績:基礎研究部門・研究室1

発表論文

  • Effects of vitamin C deficiency on the skin of the senescence marker protein-30 (SMP30) knockout mouse.
    Biochem Biophys Res Commun. 385(3):478-483, 2009
    Arai KY, Sato Y, Kondo Y, Kudo C, Tsuchiya H, Nomura Y, Ishigami A, Nishiyama T
    ビタミンCを合成できない老化指標蛋白質(SMP30)ノックアウトマウスを用い、ビタミンC欠乏がマウスの皮膚に与える影響を検討した。その結果、ビタミンCの欠乏により、皮膚コラーゲン含量の低下と表皮の角化異常が生じることが明らかとなり、さらにビタミンCが毛周期に影響を与える可能性が示唆された。
  • Coenzyme Q10 protects against oxidative stress-induced cell death and enhances the synthesis of basement membrane components in dermal and epidermal cells.
    Biofactors 35(5):435-441, 2009.
    Muta-Takada K, Terada T, Yamanishi H, Ashida Y, Inomata S, Nishiyama T, Amano S
    コエンザイムQ10およびカッコンエキスに基底膜構成タンパク質のラミニン5、IV型コラーゲン、VII型コラーゲン産生促進作用を見出した。これらの成分は基底膜形成以上の予防・修復に有効であることが示唆された。

特許出願

  • 細胞積層体
    特願2009−150934、出願人:東京農工大学、富士フィルム(株)、出願日:平成21年6月25日
    久保利昭、織笠敦、村口太一、西山敏夫

学会発表

  • IL-1 beta stimulates activin βA mRNA expression in human skin fibroblasts through MAPkinase pathways, NF-κB pathway and prostaglandin E2.
    Yokosuka science festa 2009, june 4-7 Shonan Village Center, Yokosuka, 2009
    Arai KY, Ono M, Kudo C, Nomura Y, Nishiyama T
    アクチビンはTGF-βスーパーファミリーのメンバーで皮膚創傷治癒過程の調節に関与していると考えられている。創傷治癒時におけるアクチビンの発現増加にはインターロイキン1(IL-1)による刺激が重要であることが示唆されている。皮膚線維芽細胞を用いた研究から、IL-1によるアクチビン発現誘導にはMAPキナーゼ経路とNFκB経路が関与しており、さらにIL-1により分泌が増加するPGE2も、オートクリン作用によりアクチビン発現を刺激していることが判明した。
  • パルス電気刺激が培養ヒト皮膚細胞に及ぼす影響
    第82回日本生化学会大会、神戸、平成21年10月21日〜24日
    中村陽平、八谷有宇子、新井浩司、秋本龍二、市川秀之、神谷章平、西山敏夫
    熱の発生や電気化学的変化を軽減することができる高周波パルス電流に注目し、細胞培養系で使用できる装置を開発し、培養ヒト皮膚細胞機能に及ぼす電気刺激の影響を検討した。高周波パルス電気刺激は表皮細胞の増殖抑制し分化促進するが、Ca2+や接触阻害による分化誘導とは異なる経路によって分化を促進する可能性が示唆された。
  • 再構成IV型コラーゲン会合体が三次元培養皮膚モデルの構造と機能に及ぼす影響
    第82回日本生化学会大会、神戸、平成21年10月21日〜24日
    八谷有宇子、伊藤嘉奈子、新井浩司、佐々木翼、安達栄治郎、林利彦、西山敏夫
    非酵素的に抽出精製したブタレンズカプセル由来IV型コラーゲンを用いて、三次元培養ヒト皮膚モデルの表皮構造、基底膜形成に及ぼす影響を検討した。三次元培養皮膚モデルの真皮モデル表面にIV型コラーゲン会合体を予め沈着させると表皮角化細胞の増殖が促進され、安定した重層表皮構造を形成できる可能性が示唆された。
  • Effects of reconstituted type IV collagen aggregates on epidermal structure and function in human skin equivalents
    34th Annual Meeting of the Japanese Society for Investigative Dermatology, Fukuoka, Dec. 4-6, 2009
    Hachiya Y, Ito K, Arai KY, Sasaki T, Adachi E, Hayashi T, Nishiyama T
    非酵素的に抽出精製したブタレンズカプセル由来IV型コラーゲンの機能を、三次元培養ヒト皮膚モデルを用いて検討した。三次元培養皮膚モデルにIV型コラーゲン会合体を予め沈着させると表皮基底細胞の密度が高く、増殖促進され、表皮厚が厚く維持された。分化状態は特に変化は無かった。また、細胞の産生する基底膜成分沈着の増加が認められた。IV型コラーゲンは重層表皮構造を安定・維持する可能性が示唆された。

講演、セミナーなど

  • 皮膚の蘊蓄、コラーゲンの蘊蓄
    東邦大学薬学部香粧品学セミナー、津田沼、平成21年11月16日
    西山敏夫
    香粧品が関わる身近な皮膚の生物学、生理学を簡単な数値から解析することでより皮膚のことを理解ができるように解説した。また、巷で言われているコラーゲンの科学的な背景を説明し、本当のことを見抜けるような科学的蘊蓄を解説した。