研究業績:基礎研究部門・研究室1

発表論文

  • Plasmin induces degradation and dysfunction of laminin 332 (laminin 5) and impaired assembly of basement membrane at the dermal-epidermal junction.
    Br J Dermatol. 159: 49-60, 2008.
    Ogura Y, Matsunaga Y, Nishiyama T, Amano S:
    表皮と真皮を接合している基底膜は、皮膚の構造や機能維持に重要な働きをしている。MMPs以外にもプラスミンが基底膜の分解に関与し、ラミニン332のa3鎖のG3ドメインとb3鎖のIVドメインをフラグメント化する。前者は細胞接着、後者はVII型コラーゲンとの結合に関与するので、プラスミンはラミニン332を分解し、基底膜構造形成を阻害し、表皮と真皮の結合に影響を及ぼすことを明らかにした。
  • Mechanical strain increases expression of type XII collagen in murine osteoblastic MC3T3-E1 cells.
    Cell Struct Funct. 33:203-210, 2008.
    Arai K, Nagashima Y, Takemoto T, Nishiyama T
    XII型コラーゲンは骨において極めて優勢に発現する分子種であり、骨芽細胞株MC3T3-E1を張力負荷培養に供したところ、XII型コラーゲンmRNA発現が有意に上昇することを見出した。遺伝子解析の結果、XII型コラーゲンの第1イントロン内に存在するAP-1結合領域が、この張力依存性の発現制御に関わっていることを明らかにした。
  • The Src tyrosine kinase pathway regulates thecal CYP17 expression and androstenedione secretion.
    Mol Cell Biochem 318:191-200, 2008.
    Chaturvedi G, Arai KY, Terranova PF, Roby KF.
    細胞内シグナル伝達に関与しているチロシンキナーゼであるSrcが、卵巣莢膜細胞のステロイド合成酵素であるCYP17の発現とアンドロステンジオンの分泌を調節していることを明らかにした。
  • The effects of prolactin and gonadotropin on luteal function and morphology in the cyclic golden hamster
    J Reprod Dev 54:418-423, 2008.
    Kon H, Kishi H, Arai KY, Shinoda M, Watanabe G, Taya K.
    プロラクチンと性腺刺激ホルモンがハムスターの黄体機能と形態に与える影響を調べ、両者が黄体のアポトーシスを抑制していることを明らかにした。

著書、解説

  • 皮膚老化モデルマウス
    老化・老年病研究のための動物実験ガイドブック pp247-253アドスリー、2008年5月
    西山敏夫、新井浩司
    皮膚老化モデルマウス、特に光老化マウス実験、毛周期・発毛試験、創傷治癒実験について実験方法や解析方法を概説した。

学会発表

  • マウス皮膚における細胞外マトリックス遺伝子発現の成長に伴う変化
    第40回日本結合組織学会学術大会・第55回マトリックス研究会大会、東京、平成20年5月29日〜31日
    工藤千香子、新井浩司、西山敏夫
    マウス皮膚における細胞外マトリックス遺伝子の発現変化を調べ、マウス皮膚では成長に伴いIII型、IV型、V型コラーゲンの遺伝子が減少すること等を明らかにした。
  • ビタミンC欠乏は皮膚のコラーゲン含量を減少させる
    第40回日本結合組織学会学術大会・第55回マトリックス研究会大会、東京、平成20年5月29日〜31日
    新井浩司、工藤千香子、土屋博之、佐藤安訓、近藤嘉高、野村義宏、石神昭人、西山敏夫
    ビタミンCを合成できない老化指標蛋白質(SMP30)ノックアウトマウスを用い、ビタミンC欠乏がマウスの皮膚に与える影響を調べた。その結果、マウス皮膚ではビタミンCの欠乏により、皮膚コラーゲン含量の低下と表皮の角化異常が観察され、さらにビタミンC欠乏、過剰いずれのマウスでも毛周期の異常が観察された。
  • 三次元培養皮膚モデルのバイオアッセイ系としての応用
    第21回日本動物代替法学会、埼玉、平成20年11月13、14日
    西山敏夫
    「代替臓器の開発と代替試験法」のシンポジウムでの発表。収縮コラーゲンゲル上に表皮細胞を重層培養する三次元培養ヒト皮膚モデルは生体皮膚に類似している培養系である。この系を生化学的、薬理学的、形態学的、細胞生物学的研究のバイオアッセイ系として応用している我々の最近の研究例を紹介した。
  • 三次元培養ヒト皮膚モデルの細胞機能と構造形成に及ぼすGSK-3阻害剤の影響
    第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会合同大会、神戸、平成20年12月9日〜12日
    Wnt/β-cateninシグナルが皮膚の細胞活性や構造形成に及ぼす影響を三次元培養ヒト皮膚モデル系で検討した。このシグナルを促進するGSK-3阻害剤(BIO)は、増殖を促進し、基底膜成分の合成、分泌を継続的に促進している可能性が示唆された。

講演、セミナーなど

  • コラーゲンの科学:生体における役割とその有効利用
    食品膜・分離技術研究会 第20回秋季研究例会、川口、平成20年11月7日
    西山敏夫
    皮膚の構造と機能を保つコラーゲンの役割を中心にコラーゲンの機能を型別に紹介し、これらコラーゲンの化粧品、機能性食品やバイオマテリアルとしての活用について解説した。