研究業績:基礎研究部門・研究室1

発表論文

  • Developmental changes in extracellular matrix messenger RNAs in the mouse placenta during the second half of pregnancy: possible factors involved in the regulation of placental extracellular matrix expression.
    Biol. Reprod. 77: 923-933, 2007.
    Arai KY and Nishiyama T
    マウス胎盤での細胞外マトリックスの発現が妊娠の進行に伴い増加することを明らかにした。また、TGF-βやアクチビンなどの成長因子よりも酸素分圧や栄養などの要因が妊娠後半の細胞外マトリックス発現増加に重要である可能性が示唆された。
  • Quantitative analysis of the synthesis and secretion of type VII collagen in cultured human dermal fibroblasts with a sensitive sandwich enzyme-linked immunoassay.
    Exp. Dermatol. 16: 151-155, 2007.
    Amano S, Ogura Y, Akutsu N, Nishiyama T
    VII型コラーゲンは皮膚基底膜のアンカリング線維の主成分である。二種類のモノクローナル抗体を用いてVII型コラーゲンのサンドイッチELISA定量法を開発した。21種類のヒト皮膚線維芽細胞を用いて、アスコルビン酸によるタンパク質分泌促進や細胞成長因子による産生促進制御を明らかにした。一方、線維芽細胞の加齢による産生抑制は明確でなかった。
  • Establishment of a mouse skin model of the lichenification in human chronic eczematous dermatitis.
    Br. J. Dermatol. 156: 884-891, 2007.
    Matsunaga Y, Ogura Y, Ehama R, Amano S, Nishiyama T, Tagami H
    角層を剥離するテープストリッピングは皮膚バリア機能の低下を引き起こす。この角層剥離を長期間繰り返すことによりどのような皮膚傷害が発症するかを検討した。ヘアレスマウスを用いて細胞生物学的、組織学的、および薬理学的解析したところ、この方法がヒト慢性湿疹にみられる掻痒による皮膚傷害の病態モデルになることが示された。

特許、その他

  • 培養皮膚しわモデル、その製造方法、および製造装置
    出願日平成19年12月10日(特願2007-318806)
    天野聡、小倉有紀、西山敏夫
  • 生体試料保持器具及びそれを用いた連続屈曲ストレス負荷装置
    出願日平成19年12月10日(実願2007-009476)
    天野聡、小倉有紀、西山敏夫

学会発表

  • 三次元培養皮膚モデルの表皮構築ならびに基底膜構造形成におけるマトリックス分解酵素阻害剤の影響
    第39回日本結合組織学会学術大会・第54回マトリックス研究会大会、東京、平成19年5月9日〜11日
    伊藤嘉奈子、高野寛、安達栄治郎、西山敏夫
    培養人工皮膚は皮膚の構造と機能を解析するバイオアッセイ系として活用できる。MMP阻害剤およびセリンプロテアーゼ阻害剤の添加により、表皮重層化、分化マーカー発現、基底膜成分沈着、微細構造形成が再現性の良く観察できた。
  • テネイシンCおよびXII型コラーゲン遺伝子発現に及ぼす張力負荷と細胞環境の影響
    第39回日本結合組織学会学術大会・第54回マトリックス研究会大会、東京、平成19年5月9日〜11日
    杉本真美、土屋博之、小倉有紀、天野聡、新井浩司、新井克彦、西山敏夫
    ヒト線維芽細胞を用い、単層培養系と収縮コラーゲンゲル内培養系で周期的張力負荷の影響を検討した。TN-CとCOL12応答性が単層培養系と収縮ゲル系で異なり、細胞とコラーゲン線維の三次元的な相互作用も重要な要因であることが示された。
  • 表皮基底膜の表皮の構造・分化に及ぼす影響の解析
    第39回日本結合組織学会学術大会・第54回マトリックス研究会大会、東京、平成19年5月9日〜11日
    小倉有紀、松永由紀子、西山敏夫、天野聡
    基底膜および表皮の観察に三次元培養ヒト皮膚モデルを用い、基底膜の状態が表皮の構造・分化状態に影響することがわかった。基底膜を良好に保つことは表皮の状態を良好に保つために重要であることが示唆された。

講演、セミナーなど

  • 皮膚とコラーゲン:健康な肌を保つためのいろいろなコラーゲンの役割
    硬蛋白質利用研究施設公開セミナー兼皮革に関する技術シンポジウム、都立皮革技術センター、平成19年9月19日
    西山敏夫
    皮膚の構造と機能を保つコラーゲンの役割を型別に紹介し、健康な肌を維持するためのコラーゲン分子、線維、会合体の重要性を解説した。