目的:硬蛋白質利用研究施設

着任のご挨拶

令和元(2019)年5月1日付で、東京農工大学 農学部附属硬蛋白質利用研究施設 皮革研究部門の准教授に着任いたしました宮田 真路(みやた しんじ)と申します。国内唯一の研究施設として、50年にわたり硬タンパク質ならびに細胞外マトリクス成分の高度利用を目的とした研究を推進してきた、歴史と伝統のある本研究施設で研究に携わる機会をいただき、光栄に感じております。

私は平成13年に名古屋大学農学部を卒業後、平成18年に同大学院生命農学研究科にて博士号を取得しました。カリフォルニア大学サンディエゴ校および神戸薬科大学で博士研究員として研鑽を積んだ後、平成25年から平成31年までは名古屋大学生物機能開発研究センターおよび生命農学研究科の特任助教として研究・教育に携わってきました。

私は学部四年生で最初の研究室に配属されてから一貫して、細胞外マトリクスに存在するタンパク質、中でも糖鎖で修飾された糖タンパク質に興味を抱き、糖タンパク質の微細な構造の違いが細胞の機能をどのように調節するのか理解するために研究を進めてきました。生命科学の発展により、細胞内の情報伝達や遺伝子発現機構が解明されてきたのに対し、細胞外マトリクスに代表される細胞外の環境がどのように細胞の機能を制御し、生体の恒常性に寄与するのかに関しは未だ不明な点が多く残されています。私は、本研究施設が有する研究基盤と最先端の科学技術を組み合わせることで、これらの問題に取り組みます。細胞外マトリクス成分によって創り出される細胞微小環境の作用機序を理解することで、異なった種類の細胞の機能に適した細胞外マトリクス材料を開発したり、疾患や老化によって低下した細胞外マトリクスの機能を補う技術開発に貢献したいと思います。

本研究施設が培ってきた研究の独自性を維持しつつ、学内、学外および産業界の研究者とも共同研究を進め、次世代の硬タンパク質ならびに細胞外マトリクス研究における本施設の重要性をさらに高められるように研究に邁進していく所存です。

宮田 真路